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『知られざる山々』

羽田寿志著・白山書房
定価 本体1800円+税

 未知の山に登ることは、山との綱引きであり、駈け引きであり、騙しあいでもあり、取引である。低山歩きには、名誉も競争も権威も権力も、うさんくさい人間関係もない。山はわがままで行方の定まらぬ心と、自堕落な躰を受け入れてくれた。登った山頂の数を数えることも、歩いた稜線を線で結んでいくことにもあまり興味がない。同じ山に何度登っても、四季折々、多彩な自然に触れ、山そのものに浸りたり、山の持つ優しさを見つめ、ゆっくり自分と向き合うことで充分満足できた。
 人には「山は道のない、初めて登る山に、一人で登るのが一番面白い」と言って来た。初めての山は、いつも新しいものとの出会いが期待できる。景色、樹木、草花、動物、昆虫、気配、流れ、鼓動、動き、何でもいい。山菜やきのこでもあればいっそうのこと。道のない山に一人で登ると、普段見えないものまで見えてくる。どんなに小さなことであっても、初発の謎に触れることが、一番の喜びである。

まえがきより抜粋


推薦の言葉

                                                                                           
 とても便利な世の中だ。
 登山ルートが赤線で示された地図を見てそのコースタイム通りに計画を立て、ガイドブックに掲載されている写真どおりの景色を見て感動する。そして、インターネットを利用すれば、さらに多くの情報が得られる。
 沢登りや雪山の世界にまでガイドブックが存在する。インターネットを利用すればガイドブックに載っていない山やルートでさえも情報を得ることが出来る。また、親切にその山の評価をランク付けしているサイトまであるくらいだ。
 情報社会に生きる我々はそれらの情報から山の計画を立てれば綿密な計画を立てることが出来る。
 また、整備された登山道には親切な道標が設置され、足場の悪いところにはロープや鎖が張ってあり、沢には橋が掛けられている。「○○山山頂」の看板を見ればそこが目指す山の山頂だ。
 汗水たらして登った山頂は多くの人で埋め尽くされ自らの身の置き場がない。人のざわめきで鳥のさえずりさえも聞こえない。
 自然と戯れるために山に登ったのに、その山頂には人間の社会が出来てしまっている。
 ま、それはそれでいいだろう。
 しかし、私はいつの頃からか人で埋め尽くされた山頂や整備された登山道に魅力を感じなくなってしまった。
 自然と戯れることが山登りの楽しみなら、人がいない山がいい。
 この先何があるか分からないわくわく感、その中で突然現れる感動。地形図だけの情報を頼りに山の弱点を探りそこを攻める。ルートを踏破出来るか山頂に立てるかどうかは行ってみないと分からない。運良く立つ事が出来た山頂は何もないかわりに充実感があふれている。
 日本には無数に山があり、その山の登るルートは無限にあるはずだ。百名山だけが山じゃない。標高が低くても自らの力量でルートを開拓し登った山は、その人にとってはかけがえのない名山になるはずだ。
 この本の著者羽田寿志さんは新潟を拠点にガイドブックなどでは紹介されていない数々の山を登ってこられた。彼が登ってきた多くの山々の頂にはみな素晴らしい思い出が残り、心の名山になっているに違いない。
 そんな記録を集めた本の第二弾が発売されることとなった。
 ただ、ガイドブックではない事をあらかじめご承知おきいただく事としてこの本を推薦します。 

白山書房の紹介のページ

吉田明弘

著者連絡先

羽田寿志
〒950-3126
新潟市松浜7-2-1
E-mail yuki_musi@neptune.livedoor.com

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